2012年合同学術講演会 参加


どうも!院長です。

先日私は

日本ヒルズ・コルゲート株式会社
DSファーマアニマルヘルス株式会社

の合同学術講演会に参加してきました。


今回の講演内容は

1) 猫の甲状腺機能亢進症の診断と治療 〜 新たなステップへ 〜
 ①日本における猫の甲状腺機能亢進症の診断および治療の現状と問題点
   西飯 直仁 先生 
   鳥取大学 農学部獣医学科 
   獣医薬物治療学分野 講師

 ②猫の甲状腺機能亢進症 
   〜 最新の知見と新たな管理法 〜
   Dr. Todd Towell 
   マーク・モーリス研究所


2) 消化管運動障害における診断と治療
 Dr.Robert J.Washabau  
 ミネソタ大学
 獣医学部内科学教授・獣医臨床学科長

と、国内外の著名な先生によるとても充実した講演会でした。

今回のセミナーで皆様に特に知っておいてほしい内容をひとつピックアップするとすれば、

やはり「猫の甲状腺機能亢進症」に関してでしょう。

以前のセミナーの報告でも少し説明した病気ですが、この病気は今まで日本では外科療法と内科療法が治療の中心でした。

それが本セミナーにおいて

「今までなかった栄養療法という新たな治療方法が確立された」

という画期的な内容の講演だったため、今回のブログではこの新しい治療法をふまえ、猫の甲状腺機能亢進症について順序立てて説明したいと思います。




そもそも甲状腺とは首のところに存在する臓器で、体のさまざまな大切な機能(代謝、体温、心拍数、消化器機能など)を調節する甲状腺ホルモンを産生します。

甲状腺機能亢進症は、この甲状腺が肥大し、過剰な甲状腺ホルモンが産生・放出されてしまう病気です。
治療しないでおくと心臓や腎臓などに大きなダメージを与え、死に至ることもあります。

甲状腺機能亢進症は、老齢猫における重要な病気であり、犬における発生はほとんどありません。(犬では甲状腺機能低下症になっていきます。

<症状>
体重減少、多食、食欲低下、多飲多尿、行動の変化(凶暴化するなど)、嘔吐、下痢、脱毛、頻脈、呼吸困難など多様なものが出てきます。

確定診断は、甲状腺ホルモンの測定になります。

上記のような臨床症状と甲状腺ホルモンの過剰が認められれば「甲状腺機能亢進症」として治療が必要になります。

<治療>
今まで大きく3つの治療方法がありました。

①外科療法
異常になった甲状腺を切除する。

②内科療法
甲状腺ホルモン合成を抑制するお薬を飲ませていく。

③放射性ヨード療法
海外では行えるが、日本では法律上行うことができない治療。

つまり日本において甲状腺機能亢進症の治療というと、放射線ヨード療法は行うことができないので、実質的に外科療法と内科療法の二つの方法しかありませんでした。

しかし、この二つの治療方法は、それぞれ問題がありました。

外科手術に関しては術後に甲状腺機能低下症や低カルシウム血症など別の病気になってしまう。

内科療法に関しては猫ちゃんが投薬自体難しく毎日の薬が続けられなくなってしまう。

そのような理由があり、なかなか思ったような治療ができないことが実際の現場の現状でした。

そんな猫の甲状腺機能亢進症の新しい治療として本セミナーで説明されたのが「栄養療法」、つまり

フードを食べさせるだけで治療ができる

ということなのです。

甲状腺は、食事で摂取する「ヨウ素」という成分を利用して甲状腺ホルモンを作ります。
この「栄養療法」では
日常の食事で摂取するヨウ素の量を制限することにより、甲状腺ホルモンの産生を減少させることができる。
つまり毎日の食事を低ヨウ素食にすることによって「甲状腺機能亢進症」を管理できるとのことなのです。

薬を毎日あげることが難しい猫ちゃん達にはもってこいのまさに革命的な治療方法だと私は思いました。

セミナーでは、いままで内科療法を行っていた猫ちゃんの栄養療法への切り替えだったり、多頭飼いのお宅での食餌の管理方法など具体的な例も分かりやすく説明していたので、今日からでもすぐできる治療方法だと思いました。

最後にそんな「猫の甲状腺機能亢進症」を疑わせる症状のチェックリストを示しますので、参考にしてみてください。

チェックリスト
 食欲旺盛なのに体重が減少
 下痢や嘔吐
 水を良く飲む
 皮膚や被毛の状態が悪い
 活発である(年齢にあわない活発な動き)

上記の症状が見られる高齢の猫ちゃんは要注意です。

気になる方はお近くの病院へ相談することをおすすめします。


この猫の甲状腺機能亢進症は

①年を重ねるほどに、発症しやすくなる。

②病気の期間が長いほど、症状は重症化する。


という特徴があるため、早期発見早期治療がまさに大事な病気と言えます。

早期の段階では上記のような症状も出ていないこともあるため、ある程度年を取ってきた猫ちゃんでは定期的に甲状腺ホルモンを調べてあげることが重要です。

ちなみに当院では7才以上の猫ちゃんにおいては年に一回、甲状腺ホルモンを測定することをおすすめしています。

毎年甲状腺ホルモンを測定し、

正常値だったら一安心。
異常値が出たら早めに治療し、悪化をさせない。


そんな治療ができればベストだと考えております。

甲状腺機能亢進症は現在、診療日誌でお話ししている慢性腎不全とも密接に関わる高齢猫の代表的な病気です。

高齢猫ちゃんのマイペースな生活をなるべく自然なかたちで維持していきたい。

それを目指して当院では日々診察を行っております。

以上、院長でした。
3月もセミナーがいくつかあるので、参加した際はまたこのブログを通じて報告したいと思います。






当院では病気の早期発見早期治療を目的とした健診をおすすめしています。↓
ライフステージごとの健診のすすめ




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