院長のつぶやき81 「がん」と向き合うために知っておくべきこと ④

前回の続きです!

それでは今回は「外科療法」についてお話ししていきたいと思います。

<外科療法>

利点
・完全に腫瘍を取り除くことができれば根治が望める。 
・治療回数、麻酔は1回で済む。

欠点
・体への負担が大きい。
・手術の内容によっては手術後に身体機能に障害が残る。
・手術に不備があると「がん」を周囲の組織に広げてしまう恐れがある。




外科手術の最大の利点は、手術で「がん」をうまく取り除くことができれば完全に治すことができるということです。

ただし、完治へのチャンスは初回の手術一回のみです。

もしもこの初回の手術で「がん」を取り残してしまったりすると、手術後にその取り残された「がん」が手術前よりも増殖スピードが活発な悪いものになる可能性があるからです!!

つまりこの外科手術は「諸刃の剣」、うまくいけば「がん」を完全に治すことができますが、うまく行かない場合は「がん」の力を強くさせてしまうのです。

またもちろんのことですが、外科療法は痛みを伴います。
特に「がん」の手術は広範囲に組織を切除することがほとんどのため、術後数日はもちろん痛み止めの治療などはしますが、かなりの痛みが生じます。


また、

手術の内容によっては手術後に身体機能に障害が残る。

と言うことをお話ししましたが、例を挙げた方が理解して頂きやすいと思います。


前足に悪い「がん」ができてしまい、転移させないためには外科手術で『断脚』することが望ましい。
という状況になってしまったとします。

断脚とはつまり脚を切断することです。
そうすると「がん」を完全に治すことができてもその子のその後の生活は三本足での生活になってしまい、何かと不便になってしまいます。

また別の例ではもしアゴの部分に悪い腫瘍ができてしまった場合、アゴの広範囲の部分を切除すれば「がん」からは助かることができます。
しかしその子はその後、ごはんが食べづらくなったり、場合によっては毎日ごはんを食べさせてあげないと生活していけなくなるかもしれません。

外科治療をすることで飼い主様とペットの関係が崩れてしまうようでは元も子もありません。
そのためこの外科治療をする際は、その後の生活がどうなるかも含めてしっかり主治医の先生と相談していかないといけません。



私は獣医師として動物病院で診療をして感じていることがあります。
語弊があるといけないのですがあえてお伝えすると、

それは

私たち獣医師が最も良いと思う治療が必ずしも正しくはない

ということです。

私たちは各種検査と経験、そして獣医学の知識などを総合すると、どんな治療をすればそのペットを一番長生きさせることができるか?

というのはほとんど把握することができると思います。
しかし、ペットを長生きさせることと、飼い主様との生活を含めたトータルを考えると治療内容は私たちの思う一番の治療とは異なってくることは実際多いです。

特にこの『がん』の治療に関しては命に直結するものですし、外科療法においては生活の質に関わる特に重要な治療方法なので飼い主様との相談が重要になってきます。

もし「がん」をもつペットを持つ飼い主様で『今の治療で良いのか?』と疑問に感じている方がいらっしゃいましたら主治医の先生とよくお話しされることをおすすめします。

主治医の先生とそのような話し合える関係にならなければ生活も含めた総合的な「がん」の治療は決してうまくいきません。




ちょっぴり脇道にそれましたが、今回のブログを通じて『がん』の治療に関して少しでも考えるきっかけになっていただければ幸いです。

次回は放射線療法についてお話しします。

つづく





参考文献
犬と猫の腫瘍学 interzoo
日本獣医がん学会 講演要旨集



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