院長のつぶやき63 ネコの慢性腎不全の早期発見早期治療を目指す ⑤

前回の続きです!

慢性腎不全ステージ1で考えられるいくつかの病態
① 腎性のタンパク尿が持続する。
② ほかの原因疾患がなく尿濃縮能が低下している。
③ 腎臓の触診あるいは画像検査で異常がみられる。
④ 腎生検で異常がみられる。
⑤ クレアチニン値が1.6mg/dl 以下であるが、徐々に上昇している。




今回はこれらのサインを一つ一つ解説していきたいと思います。

① 腎性のタンパク尿が持続する。
腎臓が悪くなってくると尿中にタンパクが漏れ出てきます。
慢性腎不全になるとそんなタンパク尿が持続的に出てくるようになります。

よく病院で尿検査をするとき、尿試験紙を使っているところを見た事がある飼い主様もいらっしゃるかもしれませんが、尿試験紙上で陽性が出ればタンパク尿だということが診断されます。
しかし、猫ちゃんの場合は実際タンパク尿になっていてもあの尿試験紙に反応しないことがあるんです!
そのため慢性腎不全ステージ1を疑う猫ちゃんたちには『尿タンパク/クレアチニン比』という院外検査を行うと、実際タンパク尿なのかどうかをはっきりさせることができます。


② ほかの原因疾患がなく尿濃縮能が低下している。
尿濃縮能とは腎臓が尿を濃くする能力のことです。
腎臓が悪くなってくるとこの濃縮能が低下し、薄い尿を常にするようになってきます。
病院の尿検査の項目にある『尿比重』というのがこの濃縮能をを調べるのに有効になります。
しかし、慢性腎不全ステージ1の猫ちゃんではまだ実際尿比重が低下していない子も多く存在します。

③ 腎臓の触診あるいはが画像検査で異常がみられる。
腎臓が悪くなってくると腎臓の形や構造が変化してきます。
これに関してはX線検査で腎臓の大きさを、超音波検査で腎臓の内部構造を調べることができます。


④ 腎生検で異常がみられる。
腎生検とは、腎臓の組織を調ベる検査です。
腎腫瘍や水腎症など特別なことが無ければ検査するリスクが高いため慢性腎不全ステージ1を見つけるために行う検査としては不適切なものになります。


⑤ クレアチニン値が1.6mg/dl 以下であるが、徐々に上昇している。
1.6mg/dl 以上になってくると慢性腎不全ステージ2に分類されます。ただクレアチニンが1.6mg/dl以下の猫ちゃんのすべてが慢性腎不全ステージ1であるとはもちろん言えません。
しかし、定期的に血液検査をしていく中でクレアチニンの値が例えば

0.8 → 1.0 → 1.2 → 1.5 mg/dl

と徐々に上がっているとすると慢性腎不全ステージ1の可能性は十分あります。



慢性腎不全ステージ1で考えられる病態のそれぞれを解説しましたがいかがでしょうか?
自宅でこれらのサインを見つけることは難しいかもしれませんが、病院でこれらのサインを意識しながら定期検査を行っていけば慢性腎不全の早期発見できることが十分可能なんです。

次回は今回のことを踏まえ、慢性腎不全を早期発見する具体的な方法についてお話ししたいと思います。

つづく



参考文献:CLINIC NOTE No.84 interzoo
     SMALL ANIMAL INTERNAL MEDICINE interzoo




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