院長のつぶやき57 乳腺腫瘍について ⑧

前回の続きです!

病理組織検査の結果でその後の治療内容が大きく異なってきます。
すべてに当てはまるわけではありませんが以下に病理組織検査の結果による治療方針の違いについてお話ししていきたいと思います。

まずは「マージン」についてが治療方針を決める上で重要になってきます。


①マージンがプラスと診断されたなら
→ 可能であれば再手術を行う必要があります。
  もし再手術が困難な場合は飼い主様とどうしていくかを相談します。


マージンがマイナスであれば次は「良性」か「悪性」が重要になってきます。


②病理組織検査で良性と診断されたなら

ひとまずは安心してよいと思います。
今後も乳腺の部分に新たな腫瘍ができてこないかどうかを確かめていく必要がありますが、そのまま無治療で様子を見ていくようになっていきます。


③もし悪性と診断されたなら

その病理組織の診断によりいろいろ行うべき選択肢が出てきます。

3−1.悪性だけど完全に切除がされている場合

切除した腫瘍の大きさにもよるのですが、そのまま無治療で様子を見ることができます。
ただ悪性なのでその後ある程度の期間は定期的に胸のレントゲン検査を行い肺の転移が起きていないかは確かめていくことを奨励しています。

3−2.悪性でかつ血管やリンパ管などに浸潤が認められる場合

マージンがマイナスでも、病理組織検査の結果によっては

「血管内やリンパ管内に腫瘍の浸潤が認められます。」

というような結果が出ることがあります。
検査結果にこのような一文が入っている場合は
腫瘍は切除できたけど、すでに全身のどこかに転移している可能性がある
ということになるのです。

その場合の治療方針としては
化学療法(抗がん剤)
を行うかどうかになってきます。

また一般的なお話をすると、抗がん剤は固い腫瘍に関してはあまり効果がありません。
抗がん剤はリンパ腫や肥満細胞腫といった抗がん剤がよく効く腫瘍以外は腫瘍自体を小さくさせていく効果はあまり期待できません。
特に乳腺腫瘍のような固めの固形がんに関してはほとんど効果は期待できません。
そのため腫瘍の治療の基本はそのほとんどが
「可能であれば外科的に切除をする」
と言うことになっている訳です。

しかし、今回のように問題になっている乳腺腫瘍は無事に切除できたけど全身にすでに微細な腫瘍細胞が飛んでいる可能性がある。
そのような状況のときは抗がん剤はある程度の効果が期待できます。
まだ形になっていない状況のときには抗がん剤でがん細胞を死滅させることができるからです。

抗がん剤に関してはまた改めて機会を設けてお話ししたいと思いますが抗がん剤はがん細胞だけではなく正常な細胞も一緒に攻撃してしまうためしっかり状態を見ながら治療を行う必要があります!

上記の内容以外にも治療法の選択肢はありますが、大枠はこのような流れで治療方針を決めています。

もちろんその子の状態などによってもこの通りにはいかないことも多いので一番大事なことは主治医の先生としっかり相談をし、最適な治療をしてもらえるのが良いと思います。

いままで乳腺腫瘍に関して腫瘍の基本も含めてお話ししてきましたが、分かって頂けたでしょうか?
乳腺腫瘍は初期に気づくことができれば完治も望めるものですが、発見が遅ければ命に関わる状況になっていく怖い病気です。
そのことをこのブログを通じて少しでも皆様に分かって頂けたのであれば幸いです。

長くなったこのシリーズも次回最後になりますが、今まで語ってきた乳腺腫瘍を起こさせないための最大の予防方法についてお話ししたいと思います。

つづく



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