院長のつぶやき24 皮膚がかゆいんです! ⑨

前回の続きです!

当院のかゆい皮膚病のときの診断と治療方法についてお話しします。

①まず皮膚の状態を確認します。
視診が一番大切。場合により検査を行う。

はじめの方にお話しした通りかゆみの原因は大きく7つあり、ほとんどがこのどれか、もしくは複数がかゆみの原因となっています。

まず確認するのが明らかに「ノミ等の外部寄生虫」がいないかどうかです。

ノミ
ノミ


明らかにノミがいなかった場合、次に気をつけるのが「細菌」「マラセチア」です。
病院に来院する前にはすでに掻いたり舐めたりしている期間が長いため弱った皮膚に二次的に感染を起こしていることが多く、ほぼ100%の子が初診時に細菌かマラセチアに感染しています。

特に細菌に関しては見た目で分かる典型的なものも多いため、明らかに細菌感染を疑う場合は特に検査をせずに抗生物質による治療を開始します。
(余談にはなりますが、セミナーで皮膚の著名な先生も典型的なものは見た目で判断をし、治療を行うと言っていました。)

また初診の時点で経過が長く、見た目で原因が分かりづらい、複数の問題が混在してそうな場合は皮膚の検査を行います。
よく行う検査が、セロハンテープ法掻爬(そうは)検査です。

セロハンテープ法:皮膚の表面の油をとり染色液で染めて皮膚表面に何が増えているかを確かめます。
 → 主に「細菌」、「マラセチア」の異常増殖がないかを確認します。

細菌
細菌
マラセチア
マラセチア
   
※この検査で多く検出された物が直接かゆみの原因になっているかどうかは分かりませんが、目安にはなります。

掻爬検査:皮膚を削り、その削りとった細胞を顕微鏡で調べます。
 → 主に「ニキビダニ」や「疥癬」の診断に用います。

ニキビダニ
ニキビダニ

疥癬
カイセン

※これらは非常に検出されづらいダニなので始めに検査しても検出されないことが多々あります。そのため他の治療をしてあまり改善ない場合は何度でも再検査することもあります。


②はじめに明らかに分かる原因の治療を開始します。

①でかゆみの原因がはっきりしている際はまずそれぞれに対する治療をしていきます。

ノミ → ノミ・マダニ専用の駆除薬
細菌・マラセチア → 内服薬やシャンプー療法
ニキビダニ・疥癬 → 駆虫薬による治療

ここまでの治療で大部分の子のかゆみは収まります!

③ ②の治療をして明らかな皮膚病変がないにも関わらずかゆい子に関しては何かしらのアレルギーを疑い、治療をしていきます。

まずコップの理論のお話をしてそして確実にアレルゲンの除去を始めることのできるフード療法のお話をしていきます。

コップの理論に関してはこちらへ
フード療法に関してはこちらへ


④フード療法をしてもどうしてもかゆみが強い子にはステロイドを使用する話をします。


アトピー性皮膚炎が強い子に関してはある程度ステロイドを使わなくてはかゆみが治らないこともあります。

ステロイドは体の過剰な免疫反応であるアレルギーを抑えるのにとても有効なお薬です。逆に言うとステロイド以外のお薬はあまり効果がありません。
そのため獣医療の現場では皮膚のかゆみにはステロイドが使用されることはとても多いです。

しかし、長期的にステロイドを使用していくと体で悪影響が出てくることがあります。

ステロイドの副作用に関してはこちらへ


そのため当院でステロイドを使用する際は使用前に血液検査を行うことと、何ヶ月かステロイドを使用し続けている子には定期的に血液検査を実施することをおすすめしております。


ステロイド使用に関して当院ではかゆみの程度に応じて外用薬と内服薬の使い分けをしております。

1)決まった場所を中心にかゆがる子の対応

足やおなかなど決まった場所を書き続けてしまう子に関しては外用薬のステロイド剤を使用します。
最近使用している外用薬のステロイドは

「アンテドラッグ・ステロイド」

といって局所のかゆみをしっかりとってくれたあと、体に吸収されるころには作用の弱い物質へと変化するので全身への副作用のリスクを軽減できるお薬です。

こちらの外用薬だけでもかゆみのコントロールができて飼い主様にも満足してもらえることが多いです。


2)全身をかゆがる子への対応

全身をかゆがる子に関しては内服薬でのステロイドを使用します。

まずかゆみがある程度なくなるまで毎日服用します。

落ち着いてきたら二日に一回、三日に一回とステロイドを飲ませる間隔を延長していきます。
間隔をあけてもかゆみが出ない子は、あとはかゆみに応じて飲ませる間隔を微調整し維持していきます。

そこで間隔を一日でもあけてしまうとかゆみがひどくなってしまう。
そのような子に関しては免疫抑制剤を使用していきます。

免疫抑制剤はステロイドと併用していくことにより体の過剰なアレルギー反応を抑える作用があり、免疫抑制剤がしっかり効果が出てくるとステロイドの量を減らしてもかゆくなりづらくなります。

これでもかゆみが落ち着かない、もしくはどうしてもステロイドを使いたくないという方には
アトピー性皮膚炎に対して効果が期待できるサプリメントがいくつかありますので、そちらを単独、もくくは併用して使用していくこともあります。


長々とお話ししてきましたが、当院でのかゆみを伴う皮膚病に関する診断と治療は以上の流れで行っています。
しかし、上記の治療もあくまでも目安です。その子の状況によっても異なります。


そのため

飼い主様になるべく自分のワンちゃんのかゆみの原因と治療方法に関して理解してもらいたい。


そして

主治医の先生と治療方針に関して相談しながらかゆみのコントロールをしていってほしい。


そのような考えから今回、かゆみのある皮膚病に関してこのようにお話しさせて頂きました。
少しでも皆様のワンちゃんがかゆみから解放されれば幸いです。

次回からは心機一転、また新しい分野のお話をしていきたいと思います。




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