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慢性腎臓病に対する食事管理

こんにちは、樋口です
風はまだまだ冷たいですが、だんだんと暖かくなってきていますね

さて、今日は「慢性腎臓病に対する食事管理」についてロイヤルカナンさんによる院内セミナーが行われたので、そのお話をしたいと思います。


まずは腎臓の働きからお話しします。
腎臓は尿を作って老廃物を排泄している臓器です。
尿は血液から作られますので、血液中のいろいろなものから老廃物だけを選んで排泄しなければなりません。
腎臓は、腎臓のネフロンという場所で血液をろ過し尿を作り、尿細管で必要なものを再吸収するという働きをしています。
犬はろ過に重点を置いている腎臓を持ち、猫は再吸収に重点を置いている腎臓を持っています。


では、慢性腎不全とはどのような病気なのでしょうか。
慢性腎不全は長い時間をかけて少しずつ腎臓の機能が低下していく病気です。
機能しなくなった部分(ネフロン)は治りません。
お薬でもごはんでも、機能しなくなったネフロンを元に戻す(復活させる)ことはできません。

また、やっかいなことに50%のネフロンが機能しなくなると、残りの50%のネフロンが200%の力を出し、今まで通りの機能力を見せます。
ですから、初期の段階では見た目で分かる症状がないので、飼い主様が慢性腎不全に気が付くのはとても困難です。
ただ、尿検査やエコー検査で薄い尿・異常像が見つかる場合がありますので、検査で気が付くことができます。
初期の段階で気が付くためには3か月に1度(人ていうと1年に1度に値します)の尿検査やエコー検査をおすすめいたします。
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残されたネフロンの割合が25~10%になると貧血や代謝性アシドーシス(酸性に傾くということ)などの症状が現れ、飼い主様が「なにかおかしい」と気が付くレベルになります。
しかし、このころにはかなり病状が進行している状態です。

そして、残されたネフロンは今まで以上に頑張って仕事をしているわけですから、残されたネフロンの負担はとても大きいです。
その負担を軽くするためにお薬やごはんで、慢性腎不全とうまく付き合っていく必要があります。


慢性腎不全に関連した過去記事がこちらです↓
・腎臓の働き、「急性腎不全」と「慢性腎不全」の違い、犬と猫の腎臓病の違いについてはこちらをご覧ください。

・「多くの中高齢ネコちゃんの悩み〜慢性腎不全〜」はこちらをご覧ください。

・「ネコの慢性腎不全の早期発見早期治療を目指す」はこちらをご覧ください。


では、これよりロイヤルカナンの腎臓サポートジリーズ(犬:腎臓サポート・腎臓サポートセレクション・腎臓サポート ウェット 缶、猫:腎臓サポート・腎臓サポートスペシャル・腎臓サポートセレクション・腎臓サポート ウェット パウチ・腎臓サポート フィッシュテイスト ウェット パウチ)でどう弱った腎臓機能を助けるのかをお話ししたいと思います。

病気の進行を遅らせるにはリンを制限する必要があります。
腎臓が悪くなるとリンが十分に排泄されなくなり、血液中に蓄積してしまいます。
ロイヤルカナンの腎臓サポートジリーズには、腸管でのリン吸収を防ぐために腸管リン吸着剤が含まれています。
これにより腸管での吸収を防ぎ、便でリンが出るようになります。
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食事性タンパク質の制限もしなくてはなりません。
摂取したタンパク質が分解され、アンモニアになり、それが肝臓で尿素に変えられ、腎臓の働きで尿として排泄されます。しかし、腎臓の機能が弱っていると尿素が体内に溜まり、血液中に毒素が存在することになります。
そこで必要以上にタンパク質を与えないことが大切になります。
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EPA・DHAはお魚に多く含まれるもので、血管拡張作用があり、尿のろ過量を高めてくれます。
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代謝性アシドーシス(酸性に傾くということ)を食い止めるために、アルカリ化する成分としてクエン酸カリウムと炭酸カルシウムを配合しています。
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このような食事管理を行っていくわけですので、「食べる」ことがなにより重要になります。
お食事を与える際のアドバイスとしましては以下の2点になります。
食事を1日3~4回に分けて与えると消化吸収率を最大にできます。
38~39℃に温めて与えると、香りや風味がよくなりますので、より嗜好性が高まります。
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下の図は猫のものですが、犬も大差ないとのことです。
ごはんを食べるとき何に重きを置いているかというと、1番目はにおい、2番目は形・大きさ・食感、3番目は味、4番目は栄養バランス(食べていくうちに体が自然とわかってくるそうです)だそうです。
また、食器も関係するそうで、1番目は陶器、2番目はガラス、3番目はプラスチック、4番目はステンレスだそうです。
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また、腎臓サポートドライジリーズ(犬:腎臓サポート・腎臓サポートセレクション、猫:腎臓サポート・腎臓サポートスペシャル・腎臓サポートセレクション)ではすべての種類でにおいや形を変えているので、お食事に飽きっぽい仔には2~3種類を交互にあげると食べてくれるかもしれません。


以上がセミナーの報告になります。ご参考いただければと思います。



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