ベイタウンペットクリニックBlog
ベイタウンペットクリニックのブログです。 主に病院からのお知らせ、ちょっとしたことや日々のことなどを配信しております。
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慢性膵炎の新しい展望 〜診断と治療〜
どうも院長です!
先日私は日本ヒルズ・コルゲート株式会社、DSファーマアニマルヘルス株式会社主催の学術講演会に参加してきました。
春のヒルズ学術講演会2015
慢性膵炎の新しい展望
〜診断と治療〜
講師:Dr. Joerg Steiner
med.vet.,phD,DACVIM,DECVIM-CA,AGAF
テキサスA&M大学 小動物内科・外科・病理生物学部門 終身教授
消化器研究所 所長
今回はいままで聞いたことがなかった膵炎に関してのセミナーでとても興味深い内容のものでした。
膵臓は、体の中では消化酵素を出したり、血液中の糖分を細胞内に取り入れるために必要なホルモンであるインスリンなどを分泌するとても大事な臓器です。
膵炎はそんな膵臓の炎症状態のことをいいます。
膵炎は急性と慢性のものがあり、急性膵炎は強い吐き気や水下痢などが続くとてもひどい症状が出てくるので診断されることもある病気ですが、慢性膵炎は膵臓が萎縮したり線維化することによっておこる炎症で、長期間かけて進行していきます。
そのため症状が曖昧だったり無症状のまま進行していくことも多いためいままで診断や治療をすることが難しい病気でした。
そんな慢性膵炎ですが、今回のセミナー内容でびっくりしたのは
犬、猫ともに慢性膵炎はとても多い!
ということです。
アメリカの動物病院で死因に関係なく亡くなった犬を対象に200頭以上の膵臓を調べた所、
膵炎を示唆する肉眼的変化が11%以上の犬で認められ、
しかもその膵臓を2cmおきに切り、そのいずれの切片にも病変が認められなかった犬は8%のみ
とういうデータがあるそうです。
つまり解剖の結果、年齢や病気の種類に関わらず、約90%近くの犬が膵臓に何かしらの異常を持っていたということになります!
そして猫の115頭の解剖したデータもあったのですが、同じように膵臓に異常をもつ猫は多く存在していました。
そのようなデータも含め先生がおっしゃっていたのは、
①膵炎は好発疾患である。
②慢性膵炎は急性膵炎よりも多い。
③膵炎はあるが症状が出てくるかは分からない。
ということでした。
慢性膵炎は程度にもよりますが、以下のような症状が出てくる可能性があります。
・嘔吐
・下痢
・体重減少
・食欲不振又は食欲減退
・嗜眠(元気がなく意識が遠い様子)
・行動の変化
・腹部不快感
・合併症(膵外分泌不全や糖尿病)
こうみると症状だけでは膵炎と特定できるような症状はなく、見た目では診断することは困難です。
実際私もいままで年を取ったワンちゃんネコちゃんで慢性膵炎を疑う子はいましたが診断まではいたらず治療もどうしたらいいかと考えてしまうことはよくありました。
今回のセミナーではその慢性膵炎について診断から治療方法までをとても分かりやすく解説していただいいたので明日からの診療に生かせる素晴らしい内容でした。
最近、ワンちゃんネコちゃんも高齢化が進んでいます。
その分こうした慢性膵炎のような変化も常に考えて治療をしていかないといけません。
最善の獣医療を提供するためには常に勉強をしていかないといけない!と改めて思う日になりました。
以上セミナー報告でした。
またセミナーに参加した際は皆様に報告したいと思います。
過去のセミナー参加報告はこちらへ
<お知らせ>
ベイタウンペットクリニックへようこそ!
セカンドオピニオンについて
当院でのペットの健康管理について
※いままでの『院長のつぶやき』をご覧になりたい方はこちらへどうぞ
→ つぶやきのまとめ
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春のヒルズ学術講演会2015
慢性膵炎の新しい展望
〜診断と治療〜
講師:Dr. Joerg Steiner
med.vet.,phD,DACVIM,DECVIM-CA,AGAF
テキサスA&M大学 小動物内科・外科・病理生物学部門 終身教授
消化器研究所 所長
今回はいままで聞いたことがなかった膵炎に関してのセミナーでとても興味深い内容のものでした。
膵臓は、体の中では消化酵素を出したり、血液中の糖分を細胞内に取り入れるために必要なホルモンであるインスリンなどを分泌するとても大事な臓器です。
膵炎はそんな膵臓の炎症状態のことをいいます。
膵炎は急性と慢性のものがあり、急性膵炎は強い吐き気や水下痢などが続くとてもひどい症状が出てくるので診断されることもある病気ですが、慢性膵炎は膵臓が萎縮したり線維化することによっておこる炎症で、長期間かけて進行していきます。
そのため症状が曖昧だったり無症状のまま進行していくことも多いためいままで診断や治療をすることが難しい病気でした。
そんな慢性膵炎ですが、今回のセミナー内容でびっくりしたのは
犬、猫ともに慢性膵炎はとても多い!
ということです。
アメリカの動物病院で死因に関係なく亡くなった犬を対象に200頭以上の膵臓を調べた所、
膵炎を示唆する肉眼的変化が11%以上の犬で認められ、
しかもその膵臓を2cmおきに切り、そのいずれの切片にも病変が認められなかった犬は8%のみ
とういうデータがあるそうです。
つまり解剖の結果、年齢や病気の種類に関わらず、約90%近くの犬が膵臓に何かしらの異常を持っていたということになります!
そして猫の115頭の解剖したデータもあったのですが、同じように膵臓に異常をもつ猫は多く存在していました。
そのようなデータも含め先生がおっしゃっていたのは、
①膵炎は好発疾患である。
②慢性膵炎は急性膵炎よりも多い。
③膵炎はあるが症状が出てくるかは分からない。
ということでした。
慢性膵炎は程度にもよりますが、以下のような症状が出てくる可能性があります。
・嘔吐
・下痢
・体重減少
・食欲不振又は食欲減退
・嗜眠(元気がなく意識が遠い様子)
・行動の変化
・腹部不快感
・合併症(膵外分泌不全や糖尿病)
こうみると症状だけでは膵炎と特定できるような症状はなく、見た目では診断することは困難です。
実際私もいままで年を取ったワンちゃんネコちゃんで慢性膵炎を疑う子はいましたが診断まではいたらず治療もどうしたらいいかと考えてしまうことはよくありました。
今回のセミナーではその慢性膵炎について診断から治療方法までをとても分かりやすく解説していただいいたので明日からの診療に生かせる素晴らしい内容でした。
最近、ワンちゃんネコちゃんも高齢化が進んでいます。
その分こうした慢性膵炎のような変化も常に考えて治療をしていかないといけません。
最善の獣医療を提供するためには常に勉強をしていかないといけない!と改めて思う日になりました。
以上セミナー報告でした。
またセミナーに参加した際は皆様に報告したいと思います。
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