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犬の僧帽弁閉鎖不全症に続発した肺高血圧の診断・管理

どうも!院長です。
先日私は、ベーリンガーインゲルハイムベトメディカジャパン株式会社主催のセミナーに参加してきました。


ベーリンガー慢性疾患セミナー2014

Brief review1
『犬の僧帽弁閉鎖不全症に続発した肺高血圧の診断・管理』

Brief review2
『猫の慢性腎臓病 〜レニン・アンジオテンシン系抑制薬を用いた新たな治療手段〜』

講師:竹村直行 教授
日本獣医生命科学大学
臨床獣医学部門治療学分野1
付属動物医療センター循環器科・腎臓科



このセミナーでは犬、猫が年を取ってきたときに起こりやすい病気である心臓病と腎臓病についてのお話でした。

それぞれの講演でとても有益な情報があったため、これから2回に分けてこのセミナーで学んだことについてお話ししたいと思います。


Brief review1
『犬の僧帽弁閉鎖不全症に続発した肺高血圧の診断・管理』

僧帽弁閉鎖不全症とは犬においてもっとも起こりうる心臓病です。

僧帽弁閉鎖不全症についてはかつての院長のつぶやきを参考にしてください。


一方、肺高血圧症とは肺の血圧が高まることで出てくるさまざまな悪い症状のことです。
具体的には運動不耐性(疲れやすくなる)、息切れ、頻呼吸(呼吸が荒くなる)、呼吸困難、発咳、腹水、胸水、肝臓腫大、失神などが挙げられます。

この肺高血圧症は心臓病を持つワンちゃんは常に起こる可能性があることを意識しないといけません。

今回のセミナー資料にこのようなグラフがありました。

肺高血圧

このグラフは、心臓の重症度分類ごとの肺高血圧を持っている割合を示したものです。
ここにある心機能分類をしめしているISACHCとは獣医心臓病学の専門家グループが作成した慢性心不全の重症度分類の基準になります。
具体的な定義をお伝えしますと、

ISACHCクラスⅠ:無症状の心臓病
クラスⅠa:心拡大なし
クラスⅠb:心拡大あり
ISACHCクラスⅡ:軽度〜中程度の心不全
ISACHCクラスⅢ:重度の心臓病

になります。
この定義をもとに改めて上の図を見てもらうと、
無症状の心臓病のクラスⅠでも肺高血圧症を持っている可能性があり、クラスⅢにおいてはほぼもれなく肺高血圧を持っていると考えた方が良いといえます。

肺高血圧の症状で特に気をつけなければいけないのが「失神」です。
失神がでるぐらいの肺高血圧は命に直結することもあるため、迅速な診察と治療が必要になってきます。

通常肺高血圧の診断は心臓の超音波検査になりますが、すべてのワンちゃんが心臓の超音波検査ができるとは限りません。
今回セミナーではこの肺高血圧の診断をX線検査だけでも約86%の確率で診断できるというとても有益な情報を教えていただきました。

心臓病はほとんどの高齢のワンちゃんで起こりうる病気です。
そしてその心臓病に続発する肺高血圧症はいままでなかなか診断が難しいことも多かったので今回のセミナーで得た知識でより明確に治療ができる判断基準を得ることができました。
これからの診療にしっかり取り入れ、心臓病で悩むワンちゃんの症状を安定させ、より長生きしてもらえるようにしていきたいと思います。


それでは次回はBrief review2についてお話ししていきたいと思います。

つづく





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