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犬の細菌性皮膚感染症:標準的な診断法と治療法

どうも!院長です。

先日、私はゾエティス・ジャパン主催セミナーに参加してきました。



「犬の細菌性皮膚感染症:標準的な診断法と治療法」

 講師:Dr. Andrew Hillier
Senior Veterinary Specialist Zoetis


今回のセミナーでは犬の細菌性皮膚感染症の治療方法についてのお話でした。
先月参加したセミナーでも抗菌薬の使用についてのお話でしたが、今回のセミナーではまた少し違った切り口からお話しされていたのでとても勉強になりました。

今回のセミナーで学んだことで皆様にお話ししたいと思うのが、

薬のコンプライアンス

についてです。
コンプライアンスとはあまり馴染みのない用語だと思いますが、

獣医師が指示した通りにきちんと動物に薬剤を飲ませるようにすることで、決められた量・時間・期間を守って確実に投薬する「投薬遵守」

を意味します。

よく動物病院でお薬を処方されると思いますが、薬によって1日1回服用だったり1日2回だったりと飲ませ方の指示があると思います。

薬にはそれぞれ体の中で薬の効果を発揮できる時間が決まっています。

通常薬を飲ませると飲ませた直後から急激に血液中の濃度が上昇し、それから時間とともにその血中濃度は低下してきます。

薬ごとに血液中で効果を発揮できる濃度は決まっています。

そのため時間の経過とともにその有効な効果を発揮できる血中濃度を下回ってしまうと、その薬の効果が十分に得られなくなってしまいます。

薬の1日1回だったり2回だったりはその薬の有効性を十分得るために必要な投薬回数になります。
これを守る事が適切な治療を行う事になり、確実なコンプライアンスになります。

しかし実際に今回のセミナーの主催であるゾエティス・ジャパンの調査によるとコンプライアンスが守られていない事がとても多いそうです。

投薬投与を指示された飼い主様が最後まで投薬しきれなかった理由は以下のようなものがあるそうです。
・動物が薬を飲んでくれなかった 54.9%
・投薬し忘れた 31.4%
・良くなったと思ったので投薬を中断した 13.7%
・投薬回数が多く投薬が困難であった 9.8%
・頼んでいた家族が投薬を忘れた 3.9%
・その他 7.8%

思い当たる事はありますでしょうか?

実際今回のセミナーのメインテーマである細菌性皮膚感染症に対して処方される抗菌薬で投薬できないことがあると、その間は細菌に対して薬剤の効果が充分に得られず、治りが悪くなったり、長期的には耐性菌ができてしまう可能性まで出てきてしまいます。

私達獣医師は処方通りに薬が飲めている事を前提で治療の計画を立てるため、実際にご自宅でうまく飲ませられないという事があると治療はうまくいきません。

そのため私達獣医師もお薬がご自宅でしっかり飲めているか飲ませる事が出来るかは確認するようにしていますが、飼い主様も愛犬のためなので不都合があれば正直に獣医師にお伝え頂けるととてもありがたいです。
結果としてそれが治療の近道にもなります。

今回の主催であるゾエティスジャパンでは1日1回でしっかり効果が得られる抗生物質や、1回注射するだけで2週間効果が持続する抗生物質などコンプライアンスを向上させる薬があり、私もよく使用しています。

同じ感染症でも動物の性格や飼い主様の生活時間などによってもその犬に対しての適切な治療方法は異なります。
その適切な治療方法を選ぶ事も獣医師の重要な役目になります。

私はなるべく飼い主様とお話をし、動物の家での様子や飼い主様の希望などをお聞きするように心がけていますが、今回のセミナーに参加して改めて飼い主様との会話の重要性を感じました。
これからもなるべく飼い主様とよくお話をし、その子に合った適切で無理なく治療が出来る方法を考えていきたいと思います。

以上、セミナー報告でした。

またセミナーに参加した際は皆様に報告したいと思います。





私はあまり東京方面に出る機会がありません。
この日は品川でセミナーが行われていたのですが、このセミナー後せっかくなので前から気になっていたある場所に寄り道をしてきました。

どこに行ったかと言いますと・・・・

ちょっと長くなったため次回に続きます。

つづく




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