2012 ビルバックダーマトロジーセミナー

どうも!院長です。

先日私はビルバックジャパン主催の

「2012 ビルバック
   ダーマトロジーセミナー」


に参加してきました。

講演内容は
「犬のアトピー性皮膚炎と治療戦略」
岩崎利郎 先生
 東京農工大学農学部獣医内科学教室 教授
 日本獣医皮膚科学会会長
 アジア獣医皮膚科学会専門医
 アジア獣医専門医協会会長
 第6回世界獣医皮膚科学会議大会長

「犬のアレルギー性皮膚炎におけるコルタバンスの臨床使用」
Prof. E. Bensignor
 フランス獣医師会副会長
 ヨーロッパ皮膚科専門医
 ナント獣医大学獣医臨床学教室準教授
 リヨン獣医大学およびアルフォール獣医大学
 皮膚科講師

と、アジアとヨーロッパそれぞれで活躍される先生の講演で、とても勉強になりました。

今回のセミナーでは「コンタバンス」というステロイドのローションスプレーが新しく発売されることになり、その製品の使い方がメインのセミナーでした。




皆様は

ステロイド

と聞くとどのような印象を受けるでしょうか?
実際私が診察をしている中で、飼い主樣よりお聞きするのは

「副作用が心配・・・」

「怖いお薬だ・・・」

そのような内容のことが多いです。

ステロイドは使い方さえ間違えなければとても効果の高いお薬になります。

そのため今回は診察でもよく使用する機会のあるステロイドについてお話ししたいと思います。


ステロイドとは別名、副腎皮質ホルモンと呼ばれています。

もともとは副腎という臓器で作られる糖質コルチコイドというホルモンを、人工的に化学合成したものがステロイド剤になります。

ステロイド剤は、抗炎症作用や、免疫抑制作用、抗腫瘍作用など使用する用量によりさまざまな効能が期待できるお薬です。

その中でも特にアトピー性皮膚炎など動物達のかゆみに関してはかなり効果が高く、逆にそれ以外のかゆみ止めの薬は動物達にはあまり効果がないことも多いため、皮膚科領域の治療にはよく使用されます。

かゆみをよくとってくれるので、かゆみが強いワンちゃん・ネコちゃん達には毎日でも使っていきたいお薬です。

しかし元々は体の中に存在するホルモンのため、ステロイド剤を長期的に使用していくと、体の中でさまざまな副作用が出て来てしまう可能性があります。

主な副作用としては

①細菌および真菌感染症
ステロイド剤は長期投与によって体の免疫力を低下させる作用があるため、本来は感染しないような細菌や真菌(かび)に感染してしまいます。

②内蔵への負担
ステロイド剤は長期投与によって、肝臓、腎臓、膵臓など重要な臓器に負担をかけます。
場合によっては命に関わる危険な状態にも発展することがあります。

③クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)
ステロイド剤は副腎皮質から出る糖質コルチコイドというホルモンを化学合成したお薬です。
そのためステロイド剤を毎日服用していると、体は自分が出しているホルモンとステロイド剤の区別がつかないため、「ホルモンが多い」と誤って認識していきます。そのうち体は本来自分自身で出すはずのホルモンを徐々に出さなくなっていき、ホルモン異常の病気に発展していきます。
クッシング症候群になると、元気食欲低下、腹部膨満(下腹部がぼってり膨らんでくること)、脱毛、多飲多尿(たくさんお水を飲み、たくさんおしっこをすること)などさまざまな症状が出てきます。

④消化管潰瘍
ステロイド剤は胃粘膜の粘液産生を抑制し、胃腸管の粘膜細胞の再生を抑制します。そのために胃十二指腸の潰瘍や、出血を引き起こす可能性があります。

上記以外にも、糖尿病や白内障、緑内障、骨粗しょう症など障害を受ける部位によって異なるさまざまな障害が出る可能性があります。


これだけの説明を聞いてしまうと、

「やっぱりステロイド剤って怖いなぁ・・・」
「使いたくないなぁ・・・」

とより心配させてしまったかもしれません。

もちろんステロイド剤は使わなくてよければ使わないに越したことはありません。

しかし、強いかゆみや免疫異常の病気ではステロイド剤を使わなくてはいけない状態も実際あります。

そのために私たち獣医師は副作用を出させずに、安全にステロイド剤を使用していくために以下のようなことを行っています。

①定期的な血液検査の実施
ステロイド剤を使用する前にまず血液検査を行い、内蔵の負担がないかを確認します。
もし使用前に内蔵の負担があればステロイド剤を使うことによって体調を崩す心配があるからです。
そしてステロイド剤を使用しはじめた後も、定期的に血液検査をすることで見ために出てこない初期の体の負担を発見することができます。

②状態に応じて減量
ステロイドによって状態が良くなってきたらステロイドの量を段階的に減らしていきます。
ステロイド剤を適切に減らしていくことによって体への長期的な負担を防ぎ、副作用を出させなくすることができるからです。

この2点をしっかり守っていけば、安全にステロイド剤を使用することは可能です。

ちなみに何度もお伝えするようですが、ステロイド剤はホルモン剤です。
そのため飲ませことによって個体差はありますが、
食欲の増加
多飲多尿

この二つの症状は出てきてしまうことがあります。

特に多飲多尿に関してはクッシング症候群になっても出る症状なので心配されるかもしれませんが、ステロイド剤を減量したり、中止することによってその症状もなくなります。
この二つの症状に関しては健康な子でも出ることが多い症状なので、もし出ても心配しないでくださいね!

以上、少し長くなりましたがよく質問されることが多いステロイドに関してお話させて頂きました。
診察中でもステロイド剤が必要となる場合は今回のブログのような説明はさせて頂いていますが、もし心配なことがあれば直接聞いて頂けると幸いです。
些細なことでもかまいませんのでぜひご相談ください。


 






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